前回は、確か売上はないけど質問のメールに答えつづけていたってとこで終わっていましたよね。
そんな一年以上経ったある日のこと、98年の初めぐらいだったでしょうか。
ある日突然、インターネット上から結納の注文が来たんです。確か東京にお住まいの女性の方だ
ったと思います。その頃、一応注文フォームなんかも設置してはありましたから、注文はいつでも
受けられる状態にはなっていましたが、ネット上から結納を注文いただけるなんて想像もしていな
かったので、正直「えっ、うそー、何で?」って感じで、どうしても信じられなかったんです。で、翌日
ご注文頂いたお客様に恐る恐る電話をしたんです。「ご注文いただきましたか?」って(笑)。
昔FAXを始めて送った時に、FAX届いてますか?って電話したのと同じ感覚ですよね。
そしたら「確かに注文しました」っていうその方のご返事。なんとも言えず嬉しかったですね。
ちょっと変な表現ですが、片思いだと思っていた相手から、自分のことも好きなんだと告白された
時のうれし恥ずかし恋心、って感じとでも言いましょうか・・・・
あらためて確認の電話を入れるなんて、今思うと大笑いですが、その時は本当に恐る恐るって感
じで、ホント真剣でした。
ところが、おもしろいもので、そのお客様からのご注文を境に、インターネット上から、一週間に1つ
とか、そんな程度でしたが結納の注文が少しずつ入り始めたんです。でもご注文いただけるのは、
確かにうれしいんだけどでも自分自身でもまだ何となく信じられなくって・・・
そこである日、当店にご注文いただいた方々に質問をしてみたんです。「なぜ当店で、結納品を
、それもインターネットでご注文いただいたんですか?」って、そうしたら、返ってきた答えが、表現
こそ微妙に違えど、なんと皆同じだったんです。
「自分の欲しいと思っている結納品が他になかったから・・・」と言う答えだったんです。
私自身決してうぬぼれるわけではありませんが、自分のデザインする結納品には自信がありまし
たし、もちろん自分自身の感性をとにかく信じていましたので、きっといつかは・・・という思いはい
つも心の中にありました。「こんなの探していた」とか「私の感覚にピッタリだ」とか思ってくださるお
客様は絶対いるはずだ!自分が今までやってきたことが、少しずつではあるけれど、やっと認めら
れ始めたんだと、とにかくこの評価の言葉はうれしかったですね。妻と二人、心から喜びを分かち
合いました。親父やお袋は、当時、インターネットって言葉ぐらいは、テレビや新聞で知っていたん
でしょうけど、でもそれが一体何なのか、インターネットで売れるってどういうこと?って感じで、喜
んでいいのか、何なのか訳がわからないって感じでしたね。
ちょっと余談ですが、実は、その当時ご注文いただくお客様が、あるひとつの傾向に偏っているの
に気が付いたんです。それは、ご注文いただく方が、圧倒的に女性が多かったということ・・・・
普通、結納は男性が購入するものですが、どうも違うパターンでご注文を頂いていたようなんで
す。彼女がインターネットでたまたま見つけてお気に入っていただいた結納を、腰の重い彼に、イン
ターネットの画面を見せながら「こんなおしゃれな結納もあるんだよ」と説得し、女性が男性の代わ
りにご注文して頂いていたようなんです。いつの時代もそうですが、女性は時代の流行にとても敏
感な方が多いですよね、いち早くインターネットという流行を取り入れて、始めていた人が多かった
んでしょうね、やっぱり女性は男性に比べて行動力があるな、時代は女性が動かしているんだな
あと、この時つくづく実感しました。まあ最近では、女性からのご注文ばかりと言うことはない
ですけどね、またこの辺の話は後ほどするとして、
もう一点女性に受けた要素として、私の色彩的な感覚が大きかったようなんです。私の色彩感覚
はどちらかと言うと、女性的なんです。どうしても淡いパステル系の色使い中心になってしまうんで
す。なんせ小学生の頃好きだった色がですね、エメラルドグリーンと薄い水色だったんです。普通
小学生ってそんな変な色好まないですよね、そんな色彩感覚で育ってきて大人になったものですから、当然webページをデザインすれば、男性がデザインしたとは思えないような、パステル系のフ
ェミンで女性的なページに、自然となってしまうんです。でも当時女性受けするという点で、これも
偶然、功を奏していたようなんです。(最近では少しサイトの色彩的なものも変化してはいますが)
また、98年の始め頃といえば、気付いておられた方もあったかもしれませんが、世間で急激にパソ
コンの普及が広まりだした時期ですよね。年賀状を自分のパソコンで作成して、プリンターでプリン
トアウトする人なども急激に増えだししたり、通信環境などもISDNとかが普及しだして次第に整って
きた時期で、これもうちにとっては、追い風となったようでした。
インターネットを始めた当初、お店に来てくれさえすれば絶対売れると信じて、インターネットを広告
宣伝として利用し、お店にご来店いただく方法ばかり考えていましたが、ここに来て方向を180度
転換し、インターネットを通して、お店の紹介ではなく、自分達の持っている商品をもっともっとご紹
介していこうと考えはじめました。もちろんサイトも大幅にリニューアルして、今まで自分自身暖め
ていたアイデアや妻がデザインしたものなんかも、具体的な商品の形にし、アイテム数も増やしど
んどんと紹介し始めたんです。例えて言うならば、今まで海の中にいた人類が、陸で生活するよう
に変化が起こった時期!?とでも言えるでしょうか(笑)この突然変異とでも言えるような、この時期が
実質上の「結納ドットコム」の始まりなのかもしれないです。
次回からは実店舗とweb shopの関係についてお話をしていきます。 |